もの忘れ外来
 
  最近ものの置き場所がわからずに良く探し物をするようになった。
人の名前が出てこない。
ひょっとして認知症になったんじゃないかな。

普段接している家族や、長年通っている病院の主治医なら、同じように認知機能が落ちてきたようだと気がついていると思います。周囲の人にも相談して専門医を受診しましょう。

もの忘れ=認知症 ではありませんので、自分の認知機能がどの程度、どのように落ちているのか、その原因は何かということを調べましょう。

ここで注意しないといけないのは、頭部の画像検査(MRI、CT)あるいは認知機能検査の結果のみでは認知症かどうかの診断は出来ないということ。

まずは治る可能性のある認知機能低下なのかどうか、認知機能低下を起こす認知症以外の病気の可能性について診察や検査を受けましょう。

最終的に認知症と診断されても、認知症=アルツハイマー型認知症 ではありません。認知症にもいろいろあって、アルツハイマー型よりも進行が遅いタイプもありますので、必要ならそこまで検査しましょう。

物忘れが始まった早い段階から認知症専門医によるきちんとした診断を受けて、介護保険でのデイサービスなどをうまく利用して、認知機能を低下させないようにしましょう。
     
当院のもの忘れ外来は一応予約制です。0957-48-7777     
     
<認知症について多い誤解>      
① 認知症=アルツハイマー病という誤解:         
いろいろ検査をして、最終的に認知症が疑われる場合。認知症にも次のようにいろいろ種類があります。
アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭葉変性症(前頭側頭型認知症)、嗜銀顆粒性認知症、進行性核上性麻痺、皮質基底核変性症など 
② 若年性(65歳未満)の認知症は若年性アルツハイマー病という誤解:     
  65歳未満で発症する認知症をまとめて「若年性認知症」と言います。
「若年性認知症」の原因は4割が血管性(つまり脳血管障害が原因)で、25%がアルツハイマー型認知症です。
つまり、「若年性認知症」の少なくとも4割は進行を防ぐことができます。
また、2018年6月に世界保健機関(WHO)により改定された疾患分類(ICD-11)では「アルツハイマー病による認知症」として早発性(65歳未満発症)と晩発性(65歳以上で発症)の区別があるだけです。「若年性アルツハイマー病」という言い方が誤解を生んでいるようです。
             
~ 主な認知症 ~
<アルツハイマー病>      
  物忘れが主な症状です。
あった出来事をすっかり忘れてしまうのが特徴です。
     
<レビー小体型認知症>      
  物忘れの程度は強くなく、ないものが見えると言ったり(幻視)、症状の程度に変動が見られるのが特徴です。   
  
<前頭側頭葉変性症>      
  物忘れの程度は軽いですが、自分勝手な判断や行動をとるのが特徴で、交通事故を起こしやすいタイプです。
 
<脳血管性認知症>
  脳血管障害(脳梗塞、脳出血)が原因の物忘れなどです。その原因となる高血圧症、糖尿病、高脂血症などを治療することで、進行を防ぐことができます。まれには家族性のものもあります。
     
      ~ その他の認知症 ~
<嗜銀顆粒性認知症> <進行性核上性麻痺> <皮質基底核変性症>
<神経原線維変化型老年期認知症>
<石灰沈着を伴うびまん性神経原線維変化病>
など
~ 認知機能低下をきたす病気など ~
甲状腺機能低下症、てんかん、脱水症、ビタミンB群欠乏、低ナトリウム血症、肝臓疾患、正常圧水頭症、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、くすりの副作用、うつ状態 など。
             
認知症、認知機能低下の診断は、頭部の画像検査を受けるとわかるとか、認知機能検査を受けるとわかるとか、簡単なものではありません。
きちんと認知症専門医の診断を受けましょう。